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10.チューニング |
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チューニングは、竹製フルートに設定した、任意のスケールの音高のピッチ(Hz)を `楽器用チューナー´ で確認し、その個々の音高をターゲット周波数に合わせる為のプロセス(修正加工)となります。 |
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チューナーのキャリブレーション設定(*:1)は、現在国際的に定義されている A音=440Hz を適用します。 |
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但し、国内の大手楽器メーカーから出荷される殆どの管楽器は、近年 A=442Hz でのチューニングが主流となっており、国内のオーケストラもこれに準じているようです。 |
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*:1 このページでは A=440Hz でのガイダンスとなりますが、 |
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以下の「周波数表」で A=440Hz と A=442Hz の各周波数を トグル表示することができます。 |
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平均律音階の周波数表 |
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平均律音階の周波数表は、オクターブ C ~ C' 間に於ける13音の各スケール名を主音とする長音階(8音)の周波数値を一覧表にしたものです。 |
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12音平均律の周波数表は、オクターブC ~ C' 間に於ける13音の各スケール名の音階(12分割・13音)の平均律周波数値(A4=440 Hzを適用)を一覧表にしたものです。 |
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チューニングは、基本的に指穴径を大きくすることでピッチを上げます。 穴サイズの修正加工は今のところ便利な工具が見つからないので、ここでは 半丸ヤスリやペンナイフ などを使用しています。 |
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半丸ヤスリによる指穴径の修正 |
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ペンナイフによる指穴径の修正 |
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指穴径の修正を行ったら、その都度、指穴エッジ部の面取りを行い表皮が剥がれるのを防止します。 又、ペンナイフ等を使用して指穴側面を削る事でより繊細なピッチ修正を図ることができます。 |
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チューニングを行う際の気温や材料の温度によっても測定値が違う為、ある程度の測定基準を決める必要が有ります。 |
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演奏を続けるとフルート本体の温度が上がることを想定し、基準より少し低め(-10セント程度)のピッチを目標値としてチューニングを行います。 |
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指穴番号は管尻側から順に、表穴 ① ~ ⑦ と裏穴 ⑧ の各指穴に対応しています。 |
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主音(F4)から始まる ヘ長調音階 をベースに順次チューニングを行います。 |
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基本的なチューニングは、低音側(管尻側)から順次行います。 |
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以下のFスケール運指表(F4~G5)の各音名で、個々の指穴が完全にオープン 或いはクローズ となる状態で、その音程を決める主要指穴 のサイズを修正することで各ピッチを合わせます。 |
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運指表はこちら |
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1オクターブと2オクターブを交互に吹いて音高を確かめながら、少しずつ指穴径を拡げます。(*:2) |
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*:2 |
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竹材の形状(テーパー度、穴径、肉厚など)にもよりますが、1オクターブのピッチを正確に合わせると、2オクターブの音程が上がり過ぎたり、又は、下がり過ぎたりする場合が有ります。
これらは、自然素材を使った簡易フルートの宿命でなかなか良い材料に巡り会うことができません。 独自の妥協点を見出してください。 |
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1オクターブと2オクターブの各ピッチが共にそのターゲットより少し低めの値となるまで指穴径のサイズを修正します。(上がり過ぎたピッチは、下げることができませんので慎重に!) |
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アンダーカットを行うことにより、若干ピッチを高くすることができます。 但し、下穴径が小さ過ぎる場合は、アンダーカットのみでピッチを合わせることはできません。 |
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以後は、適正なオクターブ比(1オクターブと2オクターブの比率)を得る為、アンダーカット(指穴の長手方向の内壁を少し斜めに削る加工)によるチューニングを行います。
私の経験では、指穴(内径側)の長手方向(特に管尻側)の面取り量を大きくすると若干ピッチが上がるようです。 |
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ピッチの修正は、先ず指穴の歌口側のアンダーカットから始めることで低音域(1オクターブ)を合わせます。 勿論それにより高音域(2オクターブ)のピッチも上がる為、双方を比べながら慎重にチューニングを行います。
もし、高音域のみがどうしても高い場合には、該当する指穴の管尻側のアンダーカットを行ってみて下さい。 |
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高音側は少しのアンダーカットでも効果が有ります。 又、指穴全体を大きくすると高音域のピッチが上がってしまうので注意が必要です。 |
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以下 「チューニングの手順」で、リコーダー運指フルートのFスケール(ヘ長調音階)のチューニングを行います。 |
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尚、このガイダンスでは、ヘ長調音階(F4~F5)以外のクロスフィンガリング運指(半音の発音)でのチューニング手順についての記述が有りますが、分かり辛い場合や初めて竹製フルート作成される方は、取り敢えず、前記の運指表(調整指穴図)で示された`主音(F4)から始まる ヘ長調音階 ´ (下表)に限定したチューニングを優先させるようにします。 |
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運指イメージの左方向が歌口側、右方向が管尻側でそれぞれの指穴位置を表しています。 縦線(バーティカルバー)の左は裏穴を表します。 |
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先ず、指穴を全部塞いだ状態 で作成フルートの主音 「F4」 を確認します。 |
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既に、Chapter 7 (Step-5)にて管のベースサイズを見極めて有る為、そのピッチに大きな変化は無いと思います。 もし、ピッチが低い場合は、管尻穴径を修正します。 |
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「G4」 の運指では、 ① の指穴サイズを修正してピッチを合わせます。 |
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重要: 以後は、その都度その音高の倍音(この場合は、G5)のピッチを並行して合わせるようにします。 倍音は、歌口に息を強く吹き込むことで発生させます。 |
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「A4」 の運指では、 ② の指穴サイズを修正してピッチを合わせます。 |
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「B♭4」 の運指では、 ③ の指穴サイズを修正してピッチを合わせます。 |
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ここでは、③ と ① の指穴サイズを組み合わせたものが実際の音高となります。 |
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リコーダー運指では、使用する8個の穴の開閉を組み合せたクロスフィンガリングと呼ばれる運指で音階(12音平均律)を形成しています。一般的に`半音下げる´場合は、ある音の音程を決める主要指穴を開け、低い側の指穴2つ(音域により1つ、又は、3つの場合も有り)を塞ぎます。 |
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「C5」の運指では、 ④ の指穴サイズを修正してピッチを合わせます。 |
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但し、この指穴 ④ は、「B4」 の運指 |
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と 、 |
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「B5」 の運指 |
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のピッチに関わっている為、それらのピッチも相互に確認しながら修正を行います。 |
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上記 「C5」 の運指 |
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は、解放指穴 ④ に ③ と ② の指穴サイズを |
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組み合わせたもの(④ ③ ② サイズの合計)が実際の 「C5」 の音高となります。 |
(この場合 ① のサイズは`殆ど´影響しない) |
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これに対し、「C5」 より半音低い「B4」の運指 |
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では、 |
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④ と ① の指穴サイズを組み合わせたもの、 |
さらに半音低い 「B♭4」 の運指 |
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では、 |
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③ と ① の指穴サイズを組み合わせたものが実際の音高となります。 |
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尚、「C5」 のピッチを正確に合わせると 「B4」 のピッチがやや高くなる傾向となります。 |
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このピッチ誤差は、「B4」 を出す時の歌口を僅かに内側気味にするか、 |
指穴①を閉じた運指 |
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とすることで解消できます。 |
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「D5」の運指では、⑤ の指穴サイズを修正してピッチを合わせます。 |
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さらに、それより半音低い 「D♭5」 の運指 |
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では、 |
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同じく ⑤ の指穴サイズを修正して各々のピッチを合わせます。 |
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「E5」 の運指では、 ⑥ の指穴サイズを修正してピッチを合わせます。 |
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さらに、それより半音低い「E♭5」 の運指 |
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では、 |
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同じく ⑥ の指穴サイズを修正して各々のピッチを合わせます。 |
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「F5」 の運指では、 ⑦ の指穴サイズを修正してピッチを合わせます。 |
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「G5」 の運指では、 ⑧ の指穴サイズを修正してピッチを合わせます。 |
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さらに、それより半音低い「G♭5」 の運指 |
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では、 |
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同じく ⑧ の指穴サイズ(裏穴)を修正して各々のピッチを合わせます。 |
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注: いずれも、クロスフィンガリング(組み合わせによる実際の音高)を考慮し個々の指穴サイズが大きくなり過ぎないようにします。 |
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