竹製フルート(No.25) G 管
 
■ 虎竹(虎班竹)を使ったオープンタイプGスケールのフルートです。
このサイトで紹介しているフルートの素材は主にケーナ作成用のものなので、全て外径の細い方に節(ふし)が有ります。その為、オープンタイプのフルート(管尻穴無しタイプ)を作成すると、管尻側の外径が歌口側より大きい形状(No.8)になってしまいました。
虎竹は、近所のホームセンターで購入したもので、長さが約2メートル有ります。任意の位置でカットする事ができる為、今回は、先のNo.24(竹製ファイフ)のように、管尻側が細く、且つオープンタイプのフルートを作成することにします。
尚、管尻側の内径はφ14mmで、従来のFスケールのフルートには少し細すぎる為、Gスケールとしました。
1.ベースサイズの作成
■ 先ず、フルート作成マニュアルの「フルート適正サイズの予想」を参照して、今回作成するフルートの主音である`Gスケール´の予想サイズをピックアップします。
作成するフルートは管尻穴無しタイプ、主音(最低音)はGスケールで、その近似サイズ(反射板~管尻間寸法)は399.1mmです。(下表)
近似サイズ表(管尻穴無しタイプ)
■ Gスケールの近似サイズ値(≒399.1)は、F管の内径(φ18mm)を基準として算出した値なので、今回の材料(歌口部予想内径≒φ16mm)では、以下のようにサイズ補正(Lc)を行う必要が有ります。(値0.75は経験上から設定した補正係数)
Lc = 近似サイズ+(近似サイズ×(18-作成する管の内径)×0.75/100)
Lc = 399.1+(399.1×(18-16)×0.75/100)≒405
Gスケールの実サイズを405mm(反射板~管尻間)と推測します。
■ 算出したGスケールの実サイズ(予想値)を基に、竹材を下図のようなベースサイズに加工しました。
歌口の穴開け位置(11mm)は、ベースサイズの設定ページの「歌口の加工」に準じています。
竹製フルート(No.25) ベースサイズ
尚、この竹材は、節~節の間隔が短い為、電動ドリルにロングビットホルダーをセットして節(ふし)部分を貫通させ、さらに内径側の突起を丸ヤスリで加工することで必要な管サイズを確保しました。
歌口穴の加工後、この状態で音を出しピッチを確認すると、目標のG4より少し低い音(390Hz前後)が出ていますので、これを今回のベースサイズとします。
2.指穴位置と指穴径の算出
リコーダー運指フルートの指穴位置計算表 に、今回作成したGスケール・ベースサイズの値を入力し、各指穴位置と指穴径を算出します。 入力値は、歌口中心位置394mm、内径φ15mm(平均値)、及び、反射板位置11mm(歌口中心からの距離)です。
指穴位置計算表による指穴位置の算出
3.指穴の加工
■ 前項のエクセル表で算出した値を基に正確な指穴位置図面を作成します。
作 図 例
穴開け位置は、先ず管の表面にマスキングテープを貼り、その上から、20mm位の幅に切った指穴位置図面を両面テープで固定します。念のため下穴径は指穴位置計算表で算出した値より0.5~1mm程小さく開けるようにします。
4.チューニング
■ 低音側(G4~)から順次音合わせを行います。 ⇒  リコーダー運指のチューニング
5.完成図面
■ 竹製フルート(No.25)G管・オープンタイプの完成図面です。
ピッチ修正後の各径は下記図面の寸法(0 ~+0.3mm)となります。又、第1指穴を中心から少し離してありますが、図面寸法は円周上の寸法です。
竹製簡易フルート(No.25)の完成図
全体に指穴位置計算表で算出したものより、指穴径が小さめ(-0.2~-0.4mm)になっています。又、何故か第4指穴径が計算値よりも少し大きくなってしまいました。
多分、従来のものに比べ、管尻に向かってのテーパー(勾配)がキツイ事や、2箇所の節((ふし)貫通の加工精度が悪く、又、内径も少し歪になっている事などに起因しているのかも知れません。
6.評 価
■ この竹材は、各指穴位置に丁度連続した外径の凹みが有り、それらが節(ふし)毎に交互(裏表)に出現します。その部分の肉厚が若干薄くなっていますが、操作上の支障は無く、むしろ個人的には、竹材の工芸的な魅力が感じられます。
スケールをG管としたことに関連が有るのかも知れませんが、竹製フルートNo.8のレーポートでも提起したように、このような管尻が窄まった形状(テーパー)にすることで2オクターブ高音域のパフォーマンスがかなり改善されるようです。
晒竹(さらし虎竹)という竹垣やガーデニングの支柱に使用される素材ですが、音程も良く合っており、乾いたような独特の音色がします。
竹製簡易フルート(No.25)G管
 
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