フルート適正サイズの予想
一般的にピアノのように固定音を出す楽器は、平均律 という音律に従ってチューニング(調律)されています。即ち、どの半音も次の半音に対して同じ周波数(振動数)比となります。
ここでは、フルートの適正サイズを予想する手段として、`ある主音(最低音)にチューニングされたフルートと、別の主音を持つフルート形状は、それぞれの持つ平均律周波数比の値に応じて相似形となる´と仮定しています。
平均律音階の周波数比は、Cを基準音とした時の平均律音階の周波数比です。ピアノと同じように隣り合う12の半音の周波数比が均一となる音律(平均律)の値を表します。
平均律に於ける各音高の周波数比
1.作成するフルートの近似サイズを選択する
 下表は、上記周波数比の値と、基準フルート(F管)の適正サイズを対比させることにより各スケールのサイズを算出したもので、近似サイズ(Ls)は、以下の数式により求めることが出来ます。
Ls=(F管の適正サイズ × Fの周波数比)/目標音名の周波数比
 ■ 管尻穴有り ... ケーナのように管尻穴が有るもの
各スケール近似サイズ(F管基準)
 ■ 管尻穴無し ... 一般的なフルートや横笛のように管尻がオープン(ストレート)のもの
各スケール近似サイズ(F管基準)
2.作成するフルートの適正内径を確認する
 選択した管サイズの音域とオクターブチューニングを確保する為に、そのサイズに合った管の内径寸法(注1:)を選択することが必要です。
 ■ 適正内径(I.D)は、その管サイズの主音(最低音)を基に、次の数式にて算出しています。
 I.D ≒ 24.0 ÷ 主音の平均律周波数比値
注1: 竹製フルートの形状は、一般的に円錐形(テーパー)となっている場合が多く、歌口側~管尻間の内径の平均値をこの場合の適正内径(I.D)とします。因みに、竹材の形状は、真円ではなく歪(いびつ)であったり、或いは、管の片方が塞がれており内径寸法の確認が難しい為、この判断は主観的なものとなります。
3.近似サイズ値の補正
 近似サイズ表の各値は、F管フルートの適正サイズ(注2:)を基準値として算出されたものなので、もし、内径(I.D)を変更する場合は、この近似サイズ値を補正する必要が有ります。
 ■ 補正近似サイズ(Lc)は、経験に基づいた補正値を設定することで算出しています。
Lc≒ 適正サイズ+(適正サイズ×(適正サイズ内径-作成する管の内径)×0.75/100)
ex1. F管の内径をφ20mmに変更する場合のLc → 420+(420×(18-20)×0.75/100)≒414mm
ex2. F管の内径をφ17mmに変更する場合のLc → 420+(420×(18-17)×0.75/100)≒423mm
注2: 適正サイズとは、そのスケールの主音(最低音)が正確にチューニングされた管サイズ(有効長さと内径)を指します。
この補正は、F管フルートを基準として±全音程度(E♭4~G4)の範囲のものに適用されます。それ以外のスケール(例えば、D4とかB♭4)の場合は、その周辺のスケールで作成チューニングされたフルートのカレント(Current)サイズが基準となります。
 
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