竹製フルート No.13 (F 管 )
スオウチク(蘇方竹)を使用したフルートです。別ページと同じようなもの(Fスケールで作成)ですが、今回は、先のNo.12(Gスケール)と同じプロセスで作成しています。
■ Step 1 :F管フルートの実サイズを推測する
先ず、フルート作成マニュアルの「フルート適正サイズの予想」ページを参照して、今回作成する`Fスケール´フルートの予想サイズ(反射板~管尻間)をピックアップします。
近似サイズ表(管尻穴有りタイプ)
Fスケールの近似サイズ(420.0)は、F管の適正内径をφ18mmとして算出した値なので、今回の材料(φ17mm)の場合は、以下のようにサイズ補正(Lc)を行う必要が有ります。
Lc = 近似サイズ+(近似サイズ×(F管適正内径-作成する管の内径)×0.75/100)
Lc = 420+(420×(18-17)×0.75/100)≒423
(内径がφ18mmより大きい場合はLcが短くなり、小さい場合はLcが長くなります)
補正により、Fスケールの実サイズを423mm(反射板~管尻間)と推測
■ Step 2 : ベースサイズを設定する
フルート作成マニュアルの「ベースサイズ設定」を参考に、歌口の形状、歌口の位置、管尻部等、フルートの基本形状を具体化するベースサイズの設定を行います。
ベースサイズ作成用の専用チャート(pdf)をプリントアウトし、Step 1 :で推測したフルートの実サイズ値(423)、歌口位置(11)、管の内径(17)、その他各部の設定値を記入します。
(ベースサイズ加工時の図面として使用)
専用チャート チャート図へ各部設定値記入
■ Step 3 : ベースサイズの加工を行い主音(最低音)のピッチを確認する
作成したチャート図を使用してベースサイズの加工を行います。
最初に管尻部の加工を行いますが、主音(F4)のピッチが基準値(349.228Hz)より高くならないよう、取り敢えず管尻穴径は図面寸法(予想)より少し小さめに加工するようにします。
次に歌口と反射板(コルク挿入)の加工を行った後、チューナーで現状の主音(最低音)のピッチを確認します。(Step 1 ~ 2 :)の設定が適正で有れば、通常はやや低めの値を示すのではないかと思います。
この材料は、管尻穴部分の壁厚が9mm以上も有り、そのままにした為、やはり予想より10Hz程ピッチが低く、管尻穴径を少し大きく拡げることで、先ずは基準ピッチより少し低めの値(約340~445Hz)となるよう修正しました。
■ Step 4 : 指穴開け位置を設定する
リコーダー運指フルートの指穴位置計算表 に今回のチャート図設定値を入力し各指穴位置と指穴径を算出します。入力値は、歌口中心位置412mm、内径φ17mm、及び、反射板位置11mm(歌口中心からの距離)です。
指穴位置計算表による指穴位置の算出
■ Step 5 : 指穴の下穴開け加工を行う
指穴位置計算表で算出した値を基に正確な指穴位置図面を作成します。
作 図 例
穴開け位置は、先ず管の表面にマスキングテープを貼り、その上から、20mm位の幅に切った指穴位置図面を両面テープで固定します。念のため下穴径は指穴位置計算表で算出した値より0.5~1mm程小さく開けるようにします。
今回は、管尻を長めのデザインにした為、管尻の端面は指穴位置計算表の基準位置より9mm右方向に有ります。
■ Step 6 : チューニングを行う
☆低音側(F4~)から順次音合わせを行います。 ⇒  リコーダー運指のチューニング
竹製簡易フルート(No.13) 完成図
下記が完成した竹製フルート(No.13)です。修正後の各指穴径は下記図面の寸法(0 ~+0.3mm)となります。又、第1と第2指穴開け位置を中心から少し離してありますが、図面寸法は円周上の寸法です。
 運指表はこちら
【評 価】
先のGスケールフルート(No.12)と同じく、当サイトの`フルートマニュアル´に沿った作成プロセスで作業を進めました。
指穴径が指穴位置計算表で算出した値より若干小さめとなりましたが、実際には管尻部の内径が少し細め(φ16mm位)であったことを考えると、上手く機能したのではないかと思います。
 
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