竹製フルート No.12 (G 管 )
内径φ17mmのスオウチク(蘇方竹)を使用したフルートです。このタイプでは初めてGスケールで作成してみました。
■ Step 1 : G管フルートの実サイズを推測する
先ず、フルート作成マニュアルの「フルート適正サイズの予想」ページを参照して、今回作成する`Gスケール´フルートの予想サイズ(反射板~管尻間)をピックアップします。
近似サイズ表(管尻穴有りタイプ)
Gスケール近似サイズ(374.2mm)は、F管フルートの適正サイズ(L420×φ18mm)を基に算出された値です。今回の材料(φ17mm)の場合は、以下のようにサイズ補正(Lc)を行う必要が有ります。
Lc = 近似サイズ+(近似サイズ×(F管適正サイズ内径-作成する管の内径)×0.75/100)
Lc = 374.2+(374.2×(18-17)×0.75/100)≒377
(内径がφ18mmより大きい場合はLcが短くなり、小さい場合はLcが長くなります)
補正により、Gスケールの実サイズを377mm(反射板~管尻間)と推測
■ Step 2 : ベースサイズを設定する
フルート作成マニュアルの「ベースサイズ設定」を参考に、歌口の形状、歌口の位置、管尻部等、フルートの基本形状を具体化するベースサイズの設定を行います。
ベースサイズ作成用の専用チャート(pdf)をプリントアウトし、Step 1 :で推測したフルートの実サイズ値(377)、歌口位置(11)、管の内径(17)、その他各部の設定値を記入します。
(ベースサイズ加工時の図面として使用)
専用チャート チャート図へ各部設定値記入
■ Step 3 : ベースサイズの加工を行い主音(最低音)のピッチを確認する
作成したチャート図を使用してベースサイズの加工を行います。
最初に管尻部の加工を行いますが、主音(G4)のピッチが基準値(391.995Hz)より高くならないよう、取り敢えず管尻穴径は図面寸法(予想)より少し小さめに加工するようにします。
次に歌口と反射板(コルク挿入)の加工を行った後、チューナーで現状の主音(最低音)のピッチを確認します。(Step 1 ~ 2 :)の設定が適正で有れば、通常はやや低めの値を示すのではないかと思います。
この場合は、首尾良くやや低めの値(約385Hz)を示しており、管尻穴を僅かに修正するだけで適正ピッチとなりましたが、その度合いによっては管尻穴径をさらに大きく拡げることでピッチを合わせる事ができます。
■ Step 4 : 指穴開け位置を設定する
リコーダー運指フルートの指穴位置計算表 に今回のチャート図設定値を入力し各指穴位置と指穴径を算出します。入力値は、歌口中心位置366mm、内径φ17mm、及び、反射板位置11mm(歌口中心からの距離)です。
指穴位置計算表による指穴位置の算出
■ Step 5 : 指穴の下穴開け加工を行う
指穴位置計算表で算出した値を基に正確な指穴位置図面を作成します。
穴開け位置は、先ず管の表面にマスキングテープを貼り、その上から指穴位置図面を両面テープで固定します。念のため下穴径は指穴位置計算表で算出した値より0.5~1mm程小さく開けるようにします。
今回は、管尻を長めのデザインにした為、管尻の端面は指穴位置計算表の基準位置より9mm右方向に有ります。
■ Step 6 : チューニングを行う
☆低音側(G4~)から順次音合わせを行います。 ⇒  リコーダー運指のチューニング
竹製フルート(№12) G管 完成図
下記が完成した竹製フルート(№12)です。修正後の各指穴径は下記図面の寸法(0 ~+0.3mm)となります。又、第1と第2指穴開け位置を中心から少し離してありますが、図面寸法は円周上の寸法です。
 運指表はこちら
【評 価】
ベースサイズの設定(基本形状のデザイン)、指穴位置の設定など当サイトで紹介した作成プロセスに沿って作業を進めましたが、各部の修正代(しろ)も少なくこの場合は上手く機能したようです。
今回使用したスオウチクは、材質(質感)が従来の女竹やホウライチクより若干軽く、その為か乾いたような音となります。ガスコンロで表面を加熱(油抜き)した後に穴加工を行ったのが良くなかったのか、指穴のエッジ部(第3と5の穴)の表皮が少し剥がれてしまいましたが、他は概ね上手く行ったようです。
 
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