Making a Bamboo Quena
11.チューニング
指穴開け加工が終わったら、先ずはそのまま全ての指穴を塞ぎケーナの主音(G4≒392Hz)を `楽器用のチューナー´ で確認します。
既に、前記(Chapter 8)の作成プロセスに於いて、ベースサイズを見極めて有る為、そのピッチに大きな変化は無いと思います。
但し、指穴加工により若干ピッチが変化する場合も有りますので、もし、そのような場合は、再度 管尻穴径を拡げるなどの修正加工を行いピッチを微調整してください。
チューナーのキャリブレーション設定は、現在国際的に定義されているA音=440Hzとします。(他の楽器とピッチを合わせる場合は、A音の設定を変更します)
G管ケーナのチューニングにおける周波数値は、以下の周波数表「Gスケール」の各値(Hz)を参照してください。
平均律音階の周波数表は、オクターブ C ~ C' 間に於ける13音の各スケール名を主音とする長音階(8音)の周波数値を一覧表にしたものです。
12音平均律の周波数表は、オクターブC ~ C' 間に於ける13音の各スケール名の音階(12分割・13音)の平均律周波数値(A4=440 Hzを適用)を一覧表にしたものです。
Frequency table for the equal temperament Frequency table for equal temperament of 12 degrees
指穴径の修正に入る前に、歌口の形状をベストの状態に仕上げておきます。
チューニングの手順は、基本的に該当する指穴径を大きく修正することでピッチを上げることができます。 穴サイズの修正加工は今のところ便利な工具が見つからないので、ここでは 半丸ヤスリやペンナイフを使用しています。
半丸ヤスリによる指穴径の修正 ペンナイフによる指穴径の修正
指穴径の修正を行ったら、その都度、指穴エッジ部の面取りを行い表皮が剥がれるのを防止します。 又、ペンナイフ等を使用して指穴側面を削る事で、音高ピッチの修正をよりシビアに行うことができます。
以後は、ケーナ運指表に従って低音側から高音側へと順次チューニングを行うプロセスとなりますが、Gスケール(ト長調の音階)のケーナに於ける半音(♭)の多くは、指穴が半開きの状態となる為、基本的なチューニングは個々の指穴が完全にオープン 、或いはクローズ となる状態にて行います。
G管ケーナの音階は、G4(ソ)・A4(ラ)・B4(シ)・C5(ド)・D5(レ)・E5(ミ)・G♭5(ソ)・G5(ソ)のような ト長調の音階となり、その音程を決める主要指穴 のサイズを修正することで各ピッチを合わせます。
運指表 (図の左方向が歌口側)
各音高の目標修正値は、上表の周波数値(Hz)に対して常に低めの設定(-20セント以内、目標-10セント)とします。
このプロセスの冒頭でも説明したように、G4(ソ)のピッチ(最低音)は、管尻穴径を拡げる事で修正できますが、既に確認済みの場合は、ここでのピッチの修正は不要です。
上記の運指表に従って、(G4~)(G4~・A4~)(G4~・A4~・B4~)と順次音を出し、該当する音高とそのオクターブ上の音高ピッチをチューナーで確認し、交互に確かめながら少しずつ指穴径を広げます。
オクターブ上の音高(倍音=整数倍の周波数の音)は、該当するポジションで息を強く吹き込む事で出すことができます。
オクターブ上の周波数: A5(880.000Hz)・B5(987.767Hz)・C6(1046.502Hz)・D6(1174.660Hz)
・E6(1390.450Hz) ・G♭6(1479.978Hz)・G6(1567.982Hz)・A6(1760.000Hz) ・・・
低音域と高音域(オクターブ上)のピッチ誤差を同じように調整するのは非常に難しく、低音域を適正なピッチに合わせても、高音域が高くなってしまう場合が有りますので、双方を比べながらチューニングを行うようにしてください。
アンダーカット(指穴の長手方向の内側を少し斜めに削る加工)を行うことにより、ピッチを若干高くすることができますが、指穴径が小さ過ぎる場合は、アンダーカットのみでのピッチを合わせることはできません。
高音側は少しのアンダーカットでも効果が有ります。 又、指穴全体を大きくすると高音域のピッチが上がってしまうので注意が必要です。
チューニングを行う時の気温や材料の温度によっても測定値が違う為、ある程度の測定基準を決める必要が有ります。私の場合は、演奏を続けるとケーナ本体の温度が上がることを想定し、基準より少し低め(-10セント程度)のピッチを目標値としてチューニングを行います。
尚、私を含めた初心者(作成、及び演奏)が、目標値に対して全て-10セント(約 2.5Hz) にチューニングするのは至難の業で、先ずは、各音高の基準値(G4~G6)との誤差が±20セント(約 5Hz)以内の値に仕上がれば上できと考えるべきです。 (^^;)
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