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管サイズについて
6.管サイズについて
縦笛や横笛を含む全ての木管楽器は、そのサイズ(長さと径)により主音(最低音)が決まる為、先ずどのようなスケールの笛を作成するのかを決めてから、入手する竹材の種類とサイズを決める必要が有ります。
一般的に`スケール(Scale)´ とは、基準の音から順番に 1オクターブ内の音を並べたもののことをいいますが、ここではフルートなど木管楽器の管体から発音される音高の振動数が最低(主音)となる管サイズの`音名´を表します。
日本古来の篠笛、龍笛、尺八等、或いは、南米が発祥の縦笛ケーナや小学生の持っているリコーダー等は全て指穴の間隔が人間の手が操作可能な範囲のサイズにデザインされています。
例えば、リコーダーはアルト(F)・ソプラノ(Hi-C)スケールが多く使用され、ケーナはGスケールが一般的です。 フルート(ベーム式)は主音がC(ミドルC)となり管体が600mm以上となる為キー機構が無いと操作できません。
この章では 作成可能な竹製フルートのスケールサイズを C4~C5 とし、それらの近似サイズについて考察します。
下図は各スケールの近似サイズをエクセルグラフで表示したものです。この図を逆さにすると、1本の管がひとつの音高に対応する楽器、パンフルートのようなイメージとなります。
即ち、各管サイズに対して適正なパターンで指穴を開ければ、その管サイズの最低音を主音とする長音階のフルートができ上がる筈です。
フルートのスケールと近似サイズ (単位:mm)
各スケールの近似サイズ
1.各スケールの近似サイズについて
音の高さは比で変化します。 即ち、ある音名の周波数にある数(値)を掛けると半音上の周波数になり、それを12回繰り返すと丁度出発点の2倍になります。 ある数(値)は、隣り合う半音の周波数比が均一となるような比率です。
ある数を掛けるという操作を12回繰り返すと丁度出発点の2倍になる比率は2の12乗根で求められます。
ある数は、12√2 = 21/12 = 2^(1/12)≒1.059463094359295...
即ち、音高が半音上がると周波数は1.059... 倍になるわけです。
以下の表は基準音をC4(middle C)とした時の各音名の周波数比の値です。 ピアノと同じように隣り合う12の半音の周波数比が均一となる音律(平均律)の値を表します。
【C4を基準音とした時の各音名の周波数比を求める式】
 C4=2^(0/12)、D♭4=2^(1/12)、D4=2^(2/12)、E♭4=2^(3/12) ・・・・ C5=2^(12/12)
^(Caret)は Microsoft Office Excel 計算に於ける「べき乗」
各スケール(音名)の平均律周波数比
ここでは 近似サイズを予想する手段として `あるスケールの主音(最低音)にチューニングされたフルートと別のスケールの主音を持つフルートは、それぞれの持つ平均律周波数比の値に応じて相似形となる´ と仮定しています。
以下の形状の竹製フルート(2種類)のそれぞれの Fスケール適正ベースサイズの値(*)を、各音名(C4~C5)の平均律周波数比の値(Ratio)と対比させることでスケール毎の近似サイズを算出しています。
* 管尻穴有りタイプ(F管): 管尻~反射板間の値=420mm
* 管尻穴無しタイプ(F管): 管尻~反射板間の値=448mm
これから作成する竹製フルートのスケール(サイズ)を、このページに有る `各スケール近似サイズ表(長さ)´ と、そのスケールの `適合内径´ を示す表からピックアップしてください。
2.各スケール近似サイズの算出
下図は、このサイトで紹介している竹製簡易フルートの管尻穴有りタイプ(上)と管尻穴無しタイプ(下)の各形状を表しており、スケール毎の近似サイズは、この 2種類の形状(タイプ)の寸法線で示された範囲の寸法です。
以下の表は、この2種類の形状(タイプ)のスケール毎の近似サイズです。 共に私が作成した Fスケール適正ベースサイズを基準としてこれらの近似サイズを算出しています。
管尻穴有りタイプの各スケール近似サイズ (F管基準)
A.S (Unit: mm)
管尻穴無しタイプの各スケール近似サイズ(F管基準)
A.S (Unit: mm)
各スケールの近似サイズ(A.S)は、各スケールの周波数比を基に次の数式にて算出しています。
 A.S=(基準スケールサイズ×基準スケール周波数比)/目標スケールの周波数比
・ 管尻穴有りタイプ A.S=(420×1.335)/目標スケールの周波数比
・ 管尻穴無しタイプ A.S=(448×1.335)/目標スケールの周波数比
例: 管尻穴有りタイプのG管フルートサイズを求める場合
A.S=(420×1.335)/1.498≒374.2
3.近似サイズに適合する内径寸法の算出
選択した近似サイズの音域とオクターブチューニングを確保する為に、そのサイズに合った管の内径寸法(注:1)を選択することが必要で 通常は管の長さが長くなるほど、即ち、主音(最低音)が低くなるほど、管の内径を大きく設定します。
各スケールの適合内径(C.I.D)は、そのスケール(主音)の周波数比を基に次の数式にて算出しています。
C.I.D ≒ 24.0 /主音の平均律周波数比
例: Fスケール近似サイズの適合内径を求める場合
C.I.D = 24.0/1.335 ≒18
C.I.D (Unit: mm)
各C.I.D値は、C4~C5の音域で採用する実用的な管径の範囲を、最大φ24mm ・ 最小φ12mmと仮定し、それを平均律に於ける各スケール音高の周波数比に配分したものです。 但し、これらはあくまでも私個人が目安としている参考値で有り、この値が他の同じような形態の管楽器に当て嵌まる訳では有りません。
注:1 竹製フルートの形状は、一般的に円錐形(テーパー)となっている場合が多く、歌口側~管尻間の内径の平均値をこの場合の適合内径(C.I.D)とします。 又、竹材の形状は、真円ではなく歪(いびつ)であったり、或いは、管の片方が塞がれており内径寸法の確認が難しい為、この判断は主観的なものとなります。
 
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