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材料の選定
5.材料の選定
竹材の選定について
このサイトで紹介している竹製のフルートは、下図のように歌口側(左)から管尻側(右)に向かっての管内外径寸法が少し細く窄(すぼ)まった形状の素材を使用しています。
竹製フルートの形状(推奨)
下図は、このような竹材を用いて作成したリコーダー運指フルートです。
リコーダー運指フルート F管
先細りの竹材を利用する理由の1つは、リコーダーの内部形状(下図・左)を意識した為ですが、竹材にリコーダーと同じようなテーパーを求めるのは到底無理なので、竹製ケーナのように管尻穴を設けた形状(下図・右)としました。
リコーダーの管尻形状 竹製フルートの管尻形状
複雑なキー機構を持たないリコーダーやバロック・フルートのような木管楽器に、管尻側の内径が窄(すぼ)まったようなデザインが採用されたのは、特に2オクターブ以上の音を出す際の音程が改善されることや、その音程を確保しつつ各指穴位置が自然に手を広げた範囲の位置に配置できることのようです。
このサイトでは、管尻の形状がオープン(管尻穴無し)となったタイプも幾つか紹介していますが、手持ちの材料(全てケーナ作成用の竹材)に選択肢が無い為、やむなくこれらの多くは、下図のように管尻側に向かって拡がったような形状となってしまいました。
竹製リコーダー運指フルート(No.15) F管オープンタイプ
このタイプは、反射板の加工(コルク挿入)が不要なことや、管尻部の長さ変更だけで主音のピッチを変更できる事など、作成上のメリットが有りますが、この場合は、管尻側が窄まっていない為、前記タイプ(管尻穴有り)に比べるとオクターブ特性が余り良くないようです。
リコーダーやクラシカル・フルートのような内径形状(円錐形)に近づける為に、下図のような内外径の太い方に反射板となる節(ふし)が有るような竹材が入手できれば良いのですが ...
 竹材の入手方法について
竹製フルートの素材は、メダケ(女竹)、ホウライチク(蓬莱竹)、スオウチク(蘇方竹)など望ましいのですが、現時点での入手方法はネット通販しか有りません。
最近、これら竹材の入手方法について調べてみましたが、通販サイトそのものが少なく、私のような環境(地方都市)で安価な竹材を入手するのは、極めて難しくなったようです...
私が十年程前にケーナ材を購入した このウェブサイトでは、現在竹材の販売は行っていないようです。
ウェブ検索で見つけたこの竹材店では、室内装飾用の女竹が販売されており、1本のみの購入も可能なようですが、長さが 4メートル程も有る為、短く分割(切断)しての購入が可能か問い合わせが必要です。
又、この竹材店では、ケーナ材として販売されているようですが、価格などの詳細については問い合わせが必要です。
オンラインショップのAmazonで、南米ペルー産の竹材を見つけましたがこれも中々の値段です。
某日、近所のホームセンターに竹材が販売されているのを見つけました。
売り場に有ったのは、黒竹(クロチク)や虎竹(トラタケ)、細めの真竹(青竹)等、どれも室内装飾や工芸品、或いは、家庭園芸の支柱などに利用されるもののようです。
虎竹は、晒竹(さらし竹)、虎班竹とも呼ばれ、表面に虎皮状の模様が入った細身の竹材、黒竹は虎竹より少し太めで全体に黒っぽい色をしており、何れも比較的安価に購入することができます。
しかし、これらの竹材は節(ふし)の間隔が短い為、丁度指穴位置と重なったり、その部分の内径が変化したりしますので、笛の素材としては余り利用されていないようです。

試しにこれらを購入して使用してみる事にしましたが、なかにはヒビ割れや変形したものが含まれているので、いろいろ吟味して程度の良いものを選ぶようにしました。
虎竹(虎班竹) 黒竹(クロチク)
私なりに考えたのですが、この節(ふし)の間隔が短いという問題は、電動ドリルにロングビットホルダーをセットして、節を貫通することで利用することが可能となります。 さらに内径側の突起などは、小型の丸ヤスリや専用工具で加工することで必要な管サイズと精度を確保できます。
虎竹の節(2箇所)を貫通させて作成したフルート(下図)を見る限り、致命的な不具合(音質、音程、操作性等の)は余り無いように思われます。
竹製フルート(№25)
・ 何よりも以下のメリットが個人的には大きく、今後も利用したいと思います。
1. 何時でも比較的安価に購入できる
2. 自分の好きな長さと位置でカットすることができる
 竹材の油抜き処理について
市販されている竹材は、冬場に切り出した竹を年明けの3月中頃まで天日に晒し、後に油抜きし、さらに日陰乾燥を最低2年してから出荷されるとのことです。

右図のような竹林がら切り出された直後の竹材を、すぐに笛(ケーナ等)の素材として使用することはできません。 通常は、油抜き処理と呼ばれる竹の余分な水分や油分を除去する作業が必要となります。


一般的に油抜き処理には、乾式法と湿式法が有り、乾式法は、竹を火で炙(あぶ)り表面に滲み出た油脂分を手早く拭き取っていく方法です。

又、湿式法(湯抜き)は、ごく少量の苛性ソーダを入れた熱湯で、竹材を一定時間煮沸した後、湯釜から取り出し、表面に滲み出た油脂分を拭き取る方法です。

本来なら一定期間自然乾燥を行った後に油抜き処理を行うのが望ましいのですが、以下の写真は、前記の青々とした竹材を自宅のガスコンロで強制的に炙り、油抜き処理を行ったものです。
この油抜き処理では、竹材の内外径が若干縮みましたが大きな変形は無く、その後、この竹材は Chaper12 の作成レポート内で紹介した各種竹製フルートの素材に利用しました。
乾式法による油抜きを行った竹材
尚、前記の青竹は2009年頃、静岡県の富士竹類植物園を見学した折に、ケーナ用の竹材(ホウライチク?)として購入した時のものです。 (現在は、個人向けの販売は行っていないようです)
近隣で天然の竹材を入手する手段は無く、もし、入手できたとしても、大きな鍋(なべ)や苛性ソーダを準備することは現実的では有りません。 現時点では、ネット通販で入手するか、又は、ホームセンター等で購入できる室内装飾用の低品質の素材を代用するしか有りません...(^^;)
 
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