竹製ファイフ(No.27) C管 リコーダー運指
 
■ 黒竹(クロチク)を使ったリコーダー運指のファイフです。
№26(F管)で使用した材料(黒竹)先端の細い部分を使用しました。竹製ファイフ(No.24)と同じCスケールですが、この場合の運指は、ファイフでは無くリコーダー運指の仕様となります。
一般的にCスケールのリコーダーは、ソプラノリコーダーと呼ばれ、単純・規則的なジャーマン式の運指を採用していますが、この場合は、当サイトのガイダンスに従って、アルトリコーダーの運指(バロック式)としました。
1.ベースサイズの作成
■ 今回作成するファイフは、No.24と同じ管尻穴無しタイプ、主音(最低音)は High-Cなので、先ずはベースサイズを No.24作成時と同じに設定しました。
歌口穴の加工後、ピッチを確認すると、未だ少し低く(B4に近い)、さらに管尻側を短く加工することで目標ピッチ(C5:523Hz)となりました。(下図)
歌口の穴開け位置(10mm)は、ベースサイズの設定ページの「歌口の加工」に準じています。
竹製ファイフ(№27) ベースサイズ
尚、この竹材は、節~節の間隔が短い為、電動ドリルにロングビットホルダーをセットして節(ふし)部分を貫通させ、さらに内径側の突起を丸ヤスリで加工することで必要な管サイズを確保しました。
2.指穴位置と指穴径の算出
リコーダー運指フルートの指穴位置計算表 に、今回作成したHigh-C スケール・ベースサイズの値を入力し、各指穴位置と指穴径を算出します。 入力値は、歌口中心位置283mm、内径φ13.5mm(平均値)、及び、反射板位置10mm(歌口中心からの距離)です。
指穴位置計算表による指穴位置の算出
3.指穴の加工
■ 前項のエクセル表で算出した値を基に正確な指穴位置図面を作成します。
今回は下図のような簡易CADソフトを使用しましたが、手書きの場合はできるだけ正確にプロットするようにします。
尚、この図では右端の寸法基準線が2本有りますが、これは管尻穴有りタイプの管尻部デザインの可変に対応する為の個人的な設定です。 今回は、オープンタイプなので、右から2本目のラインが基準線(管尻端)となります。
作 図 例
穴開け位置は、先ず管の表面にマスキングテープを貼り、その上から、20mm位の幅に切った指穴位置図面を両面テープで固定します。念のため下穴径は指穴位置計算表で算出した値より0.5~1mm程小さく開けるようにします。
電動ドリルにて 指穴の加工を行いましたが、振動によりるヒビ割れや指穴エッジ部の表皮剥がれは発生しませんでした。
4.チューニング
■ 全ての指穴を塞ぎ、低音側主音(C5)から順次音合わせを行います。(C5は、前記 1.ベースサイズの項で確認済み)
Cスケール運指のガイダンスが無い為、Fスケールリコーダー運指のチューニング を参考に各指穴径を修正します。
FスケールとCスケールは同じ運指ですが、実際のC(High)スケールの記譜はこれより1オクターブ上となります。
下図の(F4)(G4)(A4)(B♭4)(C5)(D5)(E5)(F5) を
(C5)(D5)(E5)(F5)(G5)(A5)(B5)(C6)に対応させます。
基本的なチューニングは、個々の指穴が完全にオープン()、或いはクローズ()となる状態で、その音程を決める主要指穴(歌口に一番近い)のサイズを修正することで各ピッチを合わせます。
 平均律音階の周波数表
5.完成図面
■ 竹製ファイフ(№27)リコーダー運指の完成図面です。
ピッチ修正後の各径は下記図面の寸法(0 ~+0.3mm)となります。又、第1指穴を中心から少し離してありますが、図面寸法は円周上の寸法です。
竹製ファイフ(№27)リコーダー運指の完成図
指穴位置計算表で算出したものより、管尻側の指穴径が大きめ(最大+0.6mm)になっていますが、管体のテーパー度や形状(内径が変形)に起因しているものと思われます。又、同じスケールであるファイフ №24 の実効長(308mm)よりも短くなってしまいました。
尚、指穴径の真円度や、管内径側の随所に大小の面取りを施して有る場合が有る為、これら計測値には、主観的な要素が含まれています。
6.評 価
■ 虎竹(№24、25)や黒竹(№26、27)は、節(ふし)の間隔が短い為、丁度指穴位置と重なったり、その部分の内径が変化したりしますので、笛の素材としては余り利用されていないようです。
しかし、№24~27の作成では、当初懸念していた不具合(音質、音程、操作性等の)は余り無いように思われますし、何時でも比較的安価に購入できるメリットや、作成後の見栄えもそんなに悪くない為、今後も利用して行きたいと思います。
ホームセンターの竹材売り場
今回も各指穴位置に丁度連続した外径の凹みが有り、それらが節(ふし)毎に交互(裏表)に出現していますが、操作上の支障は無く、音程も良く合っています。
竹製ファイフ(№27) C管 リコーダー運指
以下は、フリーソフト(mTuner)で各音高をチェックしたものです。 スクリーンショットを得る為、短時間で最初の1オクターブの音域を表示させたものなので、少しバラツキが有りますが、各音程はかなり安定しています。
測定ピッチ (mTuner表示画面)
 
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