竹製フルート(No.26) F 管
 
■ 黒竹(クロチク)を使ったオープンタイプ・Fスケールのフルートです。
材料は近所のホームセンターで購入しました。長さは約2メートル有り、No.25(G管)で使用した虎竹(虎班竹)より少し太めで、全体に黒っぽい色をしており、商品名は、さらし黒竹となっていました。
黒竹(クロチク)
任意の位置でカットする事が出来る為、今回も管尻側が細く、且つオープンタイプのフルートを作成することにします。
1.ベースサイズの作成
■ 先ず、フルート作成マニュアルの「フルート適正サイズの予想」を参照して、今回作成するフルートの主音である`Fスケール´の予想サイズをピックアップします。
作成するフルートは管尻穴無しタイプ、主音(最低音)はFスケールで、その近似サイズ(反射板~管尻間寸法)は、下表のように448mmになっています。
近似サイズ表(管尻穴無しタイプ)
■ Fスケールの近似サイズ値(≒448)は、F管の内径(φ18mm)を基準として算出した値なので、今回の材料(歌口部予想内径≒φ16mm)では、以下のようにサイズ補正(Lc)を行う必要が有ります。(値0.75は経験上から設定した補正係数)
Lc = 近似サイズ+(近似サイズ×(18-作成する管の内径)×0.75/100)
Lc = 448+(448×(18-16)×0.75/100)≒455
Fスケールの実サイズを455mm(反射板~管尻間)と推測します。
■ 算出したFスケールの実サイズ(予想値)に基づき、竹材を下図のようなベースサイズに加工しました。
歌口の穴開け位置(11mm)は、ベースサイズの設定ページの「歌口の加工」に準じています。
竹製フルート(No.26) ベースサイズ
尚、この竹材は、節~節の間隔が短い為、電動ドリルにロングビットホルダーをセットして節(ふし)部分を貫通させ、さらに内径側の突起を丸ヤスリや専用工具で加工することで必要な管サイズを確保しました。
歌口穴の加工後、この状態で音を出しピッチを確認すると、首尾良く目標ピッチ(F4:349Hz)となっており、これをベースサイズとして作業を進めます。
注: 内径の誤差や形状の差異(テーパー度や変形)により、ピッチが基準値(F4)より高くなる懸念も有りますので、最初は管尻側を少し長めにカットしておき、ピッチを確認しながら少しずつ長さを修正するようにします。
2.指穴位置と指穴径の算出
リコーダー運指フルートの指穴位置計算表(管尻穴無しタイプを選択)に、今回作成したFスケール・ベースサイズの値を入力し、各指穴位置と指穴径を算出します。 入力値は、歌口中心位置444mm、内径φ15.5mm(平均値)、及び、反射板位置11mm(歌口中心からの距離)です。
指穴位置計算表による指穴位置の算出
3.指穴の加工
■ 前項のエクセル表で算出した値を基に正確な指穴位置図面を作成します。
作 図 例
穴開け位置は、先ず管の表面にマスキングテープを貼り、その上から、20mm位の幅に切った指穴位置図面を両面テープで固定します。念のため下穴径は指穴位置計算表で算出した値より0.5~1mm程小さく開けるようにします。
電動ドリルを用いて指穴の加工を行いましたが、振動によりるヒビ割れや指穴エッジ部の表皮剥がれは発生しませんでした。
4.チューニング
■ 低音側(F4~)から順次音合わせを行います。 ⇒  リコーダー運指のチューニング
5.完成図面
■ 竹製フルート(No.26) F管の完成図面です。
ピッチ修正後の各径は下記図面の寸法(0 ~+0.3mm)となります。又、第1指穴を中心から少し離してありますが、図面寸法は円周上の寸法です。
竹製フルート(No.26)の完成図
指穴位置計算表で算出したものより、全体に指穴径が小さめ(-0.1~-0.4mm)になっています。
2箇所有る節((ふし)部分の加工精度(その部分が少し窄まっている)や、内径が少し歪になっている事などに起因しているのかも知れません。
6.評 価
■ 先の虎竹(No.24、25)や、今回使用した黒竹(クロチク)は、どれも室内装飾や工芸品、或いは、家庭園芸の支柱などに利用されるもので、ホームセンターに行けば何時でも、しかも比較的安価に購入することが出来ます。
節の部分が、丁度指穴位置にかかったり、外径が少し歪になった部分も有りますが操作上の支障は無く、音程も良く合っております。
竹製フルート(No.26) F管
 
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