竹製フルート(No.23) F 管
【Fスケール・管尻穴無しタイプ(オープン)の作成プロセス】
■ ベースサイズの作成
スオウチク(蘇方竹)を用いたオープンタイプのフルートです。先に作成したFスケール・フルート(No.16)と管の内外径も似通っており、長さも十分確保されています。 内径加工用ツールを使って竹材の内径を綺麗に仕上げておきます。
(フルートNo.16と今回の竹材)
先ず、Fスケールのベースサイズを予想する為、「フルート適正サイズの予想」 にある近似サイズ表を参照します。
(管尻穴無しタイプ近似サイズ表)
今回作成するFスケール管尻穴無しタイプ(管尻がオープン)では、近似サイズ(管尻~反射板間寸法)が448mmとなっています。
但し、これら近似サイズ値は、内径がφ18mmのフルートを基準として算出したものなので、管の内径が基準(φ18mm)より大きい、或いは、小さいフルートを作成する際には、「近似サイズ値の補正」を行う必要が有ります。
補正近似サイズ(Lc)は、経験に基づいた補正値を設定することで、使用する竹材により適合するベースサイズを予想しています。
以下の式に、作成するFスケール近似サイズ値(448mm)と、今回使用する竹材の内径値(φ17mm/歌口部の内径)をピックアップし、その値を代入します。
Lc=近似サイズ値+(近似サイズ値×(18-作成する管の内径)×0.75/100)
Lc=448+(448×(18-17)×0.75/100)=451.36mm
内径が細くなった分、近似サイズ値が少し長くなりました。この値(≒452mm)を踏まえて、竹材を下図のようなベースサイズに加工します。
(ベースサイズの加工)
ベースサイズの設定」のガイダンスに従い、節(反射板)から約12mmの位置に歌口を設け、音高を確認したところ、首尾良く主音F4のピッチ(少し低め)となりました。
尚、算出した近似サイズを基にベースサイズを加工する場合、念の為、管尻を少し長めに加工しておき、ピッチを確認しながら管尻側の長さを調節するようにした方が賢明です。
■ 指穴開け位置の設定
リコーダー運指フルートの指穴位置計算表 に今回のチャート図設定値を入力し、各指穴位置と指穴径を算出します。入力値は、歌口中心位置440mm、内径φ17.5mm、及び、反射板位置12mm(歌口中心からの距離)です。
(指穴位置計算表による指穴位置の算出)
■ 指穴の下穴開け加工
指穴位置計算表で算出した値を基に、正確な指穴位置図面を作成します。
(作 図 例)
穴開け位置は、先ず管の表面にマスキングテープを貼り、その上から、20mm位の幅に切った指穴位置図面を両面テープで固定します。念のため下穴径は指穴位置計算表で算出した値より0.5~1mm程小さく開けるようにします。
第1と第2指穴開け位置は、中心から少しオフセットさせてありますが、第1指穴は8mm、第2指穴は3mm(共に円周上の寸法)です。
(指穴開けの準備)
■ チューニング
☆低音側(F4~)から順次音合わせを行います。 ⇒  リコーダー運指のチューニング
竹製フルート(No.23)の指穴径の修正値
チューニング・プロセスで、各指穴径を下の表の値に修正しました。管の形状が末広がりになっている為、ピッチ修正後の指穴径が予想値より大きく、特に第1と第2指穴径の修正しろが多いようです。
指穴径の形状が真円でない場合や、管内径側の随所に大小の面取りを施して有る場合が有ります。従って、これら計測値には、主観的な要素が含まれているかも知れませんが出来る限り正確な測定を心掛けるようにしました。
(各指穴径の修正値)
写真は完成した竹製フルート(No.23)です。中央部から管尻側にかけて管体が少しカーブしており、これも竹材ならではの一興です。
完成図
 
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