竹製フルート No.7 (F 管 )
1.管サイズ設定と主音(F4)の確認
設定サイズ(歌口位置)は、指穴位置計算表にあるエクセル表のFスケールの値(赤枠)を参照します。
今回は、スオウ竹(蘇方竹)を使用しますが、仕様は竹製簡易フルートNo.5と同じとなります。
管尻部が長いデザインなので、歌口は下図の位置(405+(16-7)=414mm)に設定しました。反射板(コルク)位置は、指穴位置計算表の設定値15mmとします。材料の長さに余裕が有る為、全長480mmでカットしました。
先ずは、この寸法設定で音高を確認しましたが、まだ目標のピッチ(F4)より少し低め(約340Hz)です。管尻穴径を大きくする事でピッチを上げる事ができそうなので、形状はこのままで調律時に管尻穴径を修正したいと思います。
2.指穴開け位置の設定
リコーダー運指フルートの指穴位置計算表 に上図の設定値を入力、指穴位置と指穴径等の算出を行いました。入力値は、歌口中心位置405mm、内径φ16mm、及び、反射板位置15mm(歌口中心からの距離)です。
3.穴開け作業
穴開け位置は、先ず管の表面にマスキングテープを貼り、その上から簡易CADで作成した穴開け位置図面を両面テープで固定します。今回は、管尻が標準より長いデザインの為、各指穴開け位置に9 mmを加算します。(基準面を歌口方向へ9mm移動)
尚、管の内外径や形状的な違いを考慮して、全体に指穴径を予想穴径より小さ目(予想穴径より、-0.5mm)に開けました。
4.調 律
先ずは全ての指穴を塞ぎ音を出し、管尻穴径を右図のように修正することで、主音(最低音:F4)の調律を行いました。私の好みで管尻が長いデザインとした為、このような末広がり(ラッパ)の形となりました。
下表に従って低音側(F4~)から順次調律を行います。(半音は平均律音階の周波数表を参照)
各指穴の修正加工は常に穴の内側を少し斜め(円錐形)に削るよう意識しています。径寸法はそのままでも、特に管尻側を斜めに削ることで若干音程が上がるようです。
5.竹製フルート(№7) 完成図
下記が完成した竹製フルート(No.7)です。修正後の各指穴径は下記図面の寸法(0 ~ +0.3mm)となります。又、第1と第2指穴開け位置を中心から少し離してありますが、図面寸法は円周上の寸法です。
 運指表はこちら
6.評 価
リコーダー運指フルートの指穴位置計算表での算出値を使用して穴加工を行いました。指穴径の修正代(しろ)も少なく、この場合も概ね上手く機能しました。
シンプルなデザインなので比較的簡単に作成することができ、音出しもスムーズなので個人的には大変気に入っています。
尚、この形状(リコーダー運指)は、B音(B45)のピッチがやや高くなる傾向に有ります。B音とC音は共に同じ指穴(4つ目の穴)をオープンにする運指なので、C音を正確に調律するとB音のピッチが若干上がります。
この場合、B音の正規な運指(●●●●○●●○)ではなく、第1指穴を閉じた運指(●●●●○●●●)とすれば、CもBも正しいピッチとなります。どうしても正規なリコーダー運指にこだわるので有れば、C音(C56)のピッチを基準より少し低めにします。
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