Making a Bamboo Quena
7.ベースサイズの作成
ベースサイズとは、そのスケールの主音(最低音)が正確にチューニングされた管サイズ(有効長さと内径)で、下図のように歌口と管尻穴のみが加工された竹製ケーナの基本形状を指します。
このページは、竹材を使用したケーナのベースサイズの作成プロセスについて説明しています。
以下のステップ 1~3 に従ってG管ケーナのベースサイズを作成してください。
 ステップ: 1 近似サイズに切断
先ずは、入手した竹材を G管ケーナの 近似サイズ (予想サイズ)に合わせて切断しますが、最初は、この近似サイズ(375mm)より 10mm 程長めの寸法に加工しておきます。 もし、短く切断してしまうと、ケーナの主音(G4)ピッチが基準より高くなってしまい、以後の修正ができなくなります。
尚、最初は、管尻側の最適な切断位置を見極めるのは難しいと思われますので、これも少し長めの位置で切断しておき ステップ: 2 のプロセスで修正を行ってください。
 ステップ: 2 管尻穴の加工
材料を近似サイズに切断し、両端面の面取り加工を終えましたら、最初に管尻穴の加工を行います。
ケーナの管尻部に、そのベースサイズに対して予想されるサイズの管尻穴を設けます。 通常はこの管尻穴径のサイズを調節することにより、そのケーナの主音(最低音)をある程度調整する事ができますので、予想される穴径より少し小さめの穴加工を行うようにします。
ケーナの管尻穴作成例
下図のTYPE(A) は、一般的なケーナ等に多くみられる管尻形状ですが、個人的にはTYPE(B) のカタチが気に入っています。 但し、管尻部を余り長くし過ぎると、結果として第1指穴位置が歌口側に移動する為、全体に指穴径が小さくなり、操作性やオクターブ比などに影響する懸念が有ります。
指穴位置寸法の基準面は管尻側とし、通常は竹材の節(ふし)の厚みを 5±1mmに設定、TYPE(B) のような形状の場合は、この節の厚みを含めた寸法を10±3mmに設定しています。 尚、管尻穴径は、ケーナ内径寸法との比率が60~65% 程度のサイズ(最初は小さめに)になるように加工します。
【 管尻部の加工プロセス 】
① 枝払いの痕(あと):
入手した材料の多くには、まだ枝払いをした痕がそのままとなっており、時々管径(外周)に食い込むように切断時の刃跡が残っている事が有ります。
② 修正加工:
目の粗い平ヤスリを使用し外周形状(表皮)に沿って削り取り、最後はスポンジ状のヤスリで仕上げます。
③ 切 断:
切断時は、外周に紙テープ(マスキング用)を巻きます。下図のようにノコギリで表皮部分のみ1周切れ目を入れると、切断後に表皮が剥がれるのを防止することができます。
① 枝払いの痕 ② 修正加工 ③ 切 断
④ 面取り:
直角定規を使用して切断面に歪みが無いよう平ヤスリで修正し、同じく面取り加工を行います。この例では、管尻部が基本形状より少し長めとなるデザインとしました。
但し、この部分を余り長くし過ぎると、予想より主音(最低音)が低くなったり、オクターブ比が悪化する懸念がある為、注意が必要です。
⑤ 端面の形状:
切断面の形状は、材料により毎回異なっています。太めの材料では、自然の形状をできるだけ残すようにしますが、下図のように細く詰まっている場合は、前記 TYPE・B のような形状に修正します。
⑥ 穴ぐり加工:
この場合は、ドライバーグリップに装着した六角軸・面取りカッター(φ16mm×6.35mm)を用いて修正加工を行っています。
④ 面取り ⑤ 端面の形状 ⑥ 穴ぐり加工
⑦ 芯出し:
木工錐(きり)で、管尻穴中心を見極めてからガイド穴を開けます。
⑧ ガイド穴:
ガイド穴が管の中心にあるかどうかを確認し、もし、ずれている場合は、5本組丸ヤスリ等で修正を行います。
⑨ 仕上げ:
見映えを良くする為、できるだけドリル刃による穴開けを行います。但し、この時点では少し小さめ(管内径の60%位)とし、チューニング時に適正サイズに修正するようにします。又、管尻穴の内外の面取りも行っておきます。
⑦ 芯出し ⑧ ガイド穴 ⑨ 仕上げ
 ステップ: 3 歌口部の加工
ベースサイズの主音(最低音)がGスケールに該当するかどうかを確認する為、G管の近似サイズに加工した竹材の一方の端面に、暫定的な歌口を設けます。
歌口の加工は、今のところ見様見真似で行っています。どの様な形状であろうとU字型の溝であれば音は出るようですが、この部分の加工は重要です。
竹材は楕円形であったり、曲がりも有る為、両手で管を支えた時に一番バランスの良い位置に歌口を設定します。その位置に、丸ヤスリ、又は小型の半丸ヤスリを使用して、下図のように管の外側と内側を曲面形状に削り出します。
歌口のエッジ部は、管の厚さに対して 管の内側(A): 管の外側(B)の寸法が、A ≒ 3 : B ≒ 2 程度の比率となるような形状に加工します。
U形溝の深さ(C寸法) 及び、幅(D寸法)は 最大10mm 位としますが、余り大きいと息が多く必要となり、私の場合は、7 ~ 8mm としています。
尚、ケーナ歌口の形状には、作成者により様々な形態が有り、この場合は、個人的なスキル(未熟な)がベースになっており、あくまでも一つの参考例と考えてください。
ベースサイズの作成例
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