竹製ケーナ(No.10) F 管 リコーダー運指のケーナ
仕 様
アルトリコーダーの指穴配置を摸した「リコーダー運指ケーナ」の試作レポートです。
材料はホウライチク(蓬莱竹)を使用します。入手した材料は、歌口部の内径がφ19~20mmと大きめですが外径はφ27mmしかなく、比較的肉厚が薄目となっています。
1.管サイズ設定と設定音(F4)の確認
先ず、ケーナのFスケール近似サイズ表を参考に材料を約420mmでカットしました。
この状態で、下図のように歌口を加工し、管尻穴(φ10mm)を暫定的に設けた状態で最低音を確認したところ、F4より未だ少し低いようなので全長と管尻穴径を修正して、長さ410mm・管尻穴径φ10.5でF4の音高(349Hzに近く)に合わせました。
管の長さが予想サイズ(420mm)より短くなったのは、竹材の内径が近似サイズ基準(φ18mm)より少し大きい事や加工した管尻穴径が内径寸法に対しては、やや小さかった事などに起因しているのかも知れません。
2.指穴開け位置の設定
下表はエクセルによる指穴位置及び指穴径の算出を行ったものですが、今回は管尻部(肉厚)を少し長くした為、適用する管の全長を5mm短くし、405mmにて設定し指穴位置を算出しました。又、内径は管尻部の予想径φ18mmとしました。
指穴位置=(管全長×各指穴位置の全長比率)/100
指穴径=(管内径×各指穴位置の管径比率)/100
3.穴開け作業
穴開け位置は、先ず管の表面にマスキングテープを貼り、その上から簡易CADでプリントアウトした図面を両面テープで固定します。両面テープは穴開け時の割れや、エッジ部のバリ防止となります。又、マスキングテープは、穴開け後の両面テープを簡単に剥がすことができます。裏穴も同じ方法にて行います。
電動ドリルを使い穴開けを行いますが、前もってクロスターゲットに合わせて錐(きり)で正確な位置に揉み込みを行っておきます。今回は塩ビ製ケーナとは管の内外径や形状的な違いがある為、全体に予想穴径より小さ目(予想穴径-1.0mm程度)とします。
4.竹製ケーナ(No.10)完成図
各指穴位置は、上記エクセル計算表の算出値に5mm(管尻厚増加分)加算してあります。指穴径は、それぞれ下記図面の寸法に対して(0~+0.3mm)となります。第1と第2指穴開け位置を中心から少し離してありますが、図面寸法は円周上の寸法です。
5.評 価
完成後の指穴径が予想指穴径より全体に 1% 程度大きめになってしまいましたが、多分、エクセル表に入力した管の内径寸法(φ18)が実際より小さかった事と管の肉厚が想定より少し薄いことに起因するかも知れません。
竹材によるリコーダー風運指のケーナ作成は最初となりますが、音程、音質ともまずまずの出来映えです。今後改良を加えて行けば何とかモノになりそうです。
下の画面は音高を、尺八・篠笛などの調律用ソフト(たつあき作/フリーソフト)を使用して確認したものです。歌口を当てる角度、気温、体調(?)などで高低差にバラツキは出ますが大体このようなバランスとなります。 この指穴配置では何故か C5の音高が少し低めになるようです。 第4指穴径をもう少し大きくしてC5のピッチを上げたいのですが、この穴を大きくすると今度はB4とB4の音高が高くなってしまいます。
 
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