竹製フルート No.10 (D 管 )
1.管サイズの設定
今回はDスケール(ニ長調)で作成の為、歌口位置は、指穴位置計算表にあるDスケール近似サイズ(赤枠)の値を参照します。
2.指穴開け位置の設定
リコーダー運指フルートの指穴位置計算表 に今回の設定値を入力し、指穴位置と指穴径の算出を行います。歌口中心位置は、上記近似サイズ値(481.6≒482mm)、内径φ18mm(実測値)、反射板位置19mm(歌口中心からの距離)とします。
尚、反射板位置は、リコーダー運指の簡易竹製フルートNo.4~9と同じように、最初に管尻穴と歌口の加工を行った後、主音(最低音)の音高を測定する事により適正位置を確認します。
3.穴開け作業
穴開け位置は、先ず管の表面にマスキングテープを貼り、その上から簡易CADで作成した穴開け位置図面を両面テープで固定します。下穴径は予想穴径より小さ目(予想穴径より -1mm程度)に開けるようにします。
4.チューニング
リコーダーでは、Cスケール(ソプラノ)、Fスケール(アルト)が一般的なので、先ずは Dスケールの運指表を作成しました。
主音(D4)から始まるニ長調の音階をベースに順次チューニングを行います。
 12音平均律の周波数表
5.竹製フルート(№10) 完成図
修正後の各指穴径は下記図面の寸法(0 ~ +0.3mm)となります。又、第1と第2指穴開け位置を中心から少し離してありますが、図面寸法は円周上の寸法です。
管尻部が通常の設定値より長め(+8mm)のデザインなので、歌口は下図の位置(482+8=490mm)、又、各指穴位置寸法も上記「指穴位置計算表」の値に対して増加分(8mm)が加算されています。
6.評 価
作成プロセスはリコーダー運指の簡易竹製フルーNo.4~9と同じなので、比較的短時間で作成する事ができました。キー機構を持たない簡易フルートの場合、普通の人の指サイズを考えるとこれが大きさの限度かと思います。
木製のバロック・フルート(flauto traverso)やアイリッシュ・フルートでは、Dスケール(ニ長調)のものが多く見受けられますが、このようなリコーダー運指によるものは珍しいかも知れません。又、リコーダーでは、テナーリコーダーというサイズも有りますが、主音はこれより低いCスケール(ハ長調)となり、やはり右手小指で操作するキー機構を採用したものが多いようです。
先に作成したアルト(No.9)と並べてるとやはり大きく見えます。音量は余り有りませんが、柔らかく深みのある音が出ます。
 
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