竹製フルート No.9 (F 管 )
1.管サイズ設定と主音(F4)の確認
本体側の長さは330mm、頭部管(歌口側)は150mmの長さに加工したものを組み合わせます。両方の接続部にホゾ穴加工(φ19mm)を行い、ステンレスパイプ(厚さ1mm)を本体側に固定しました。
下図のように管尻より410mmの位置に歌口を設けた状態にて、目標のF4のピッチ(少し低め)になることを確認しました。
竹外径部(合わせ目)の微妙な違いが目立たないよう、乳白色のビニール電線管をリング状に加工しジョイント部に設けました。
反射板(コルク)は、頭部管の右方向から押し込み、歌口中心から約15mmの位置とします。先端部の節(ふし)に開けた穴から棒で押し戻すことで間隔を調節する事ができます。
2.指穴開け位置の設定
リコーダー運指フルートの指穴位置計算表 に今回の設定値を入力、指穴位置と指穴径等の算出を行いました。入力値は、歌口中心位置410mm、内径φ17mm、及び、反射板位置15mm(歌口中心からの距離)です。
3.歌口の形状と下穴開け加工
左図は歌口の断面ですが、息の当たる部分(矢印)のエッジ形状を考慮する必要が有ります。この場合は、竹に穴を開けただけのものなので余り深刻に考える必要は有りませんが、歌口の中心線(Y軸)に対して若干(7 ~ 8°)傾斜するように加工します。
歌口の内側は丁寧に面取り加工(アンダーカット)を行います。又、音が掠(かす)れたりしないよう壁面はできるだけ綺麗に仕上げるようにします。
歌口のサイズによりピッチが変化しますので主音F4(最低音)のピッチを確認します。ピッチが低い場合は管尻穴径を少し拡げ、ピッチが高い場合は接続部のリング幅を調節します。因みに反射版(コルク)位置は余りピッチに反映されないようです。
指穴加工に使用する木工用ドリル刃は、殆どが正寸で出来ており0.5mm単位の径寸法で市販されているものは少ないように思われます。従って、余り無理をせず下穴径は指穴位置計算表で算出した値より1mm程度小さく開けるようにします。
穴開け位置は、先ず管の表面にマスキングテープを貼り、その上から簡易CADで作成した穴開け位置図面を両面テープで固定します。
4.調 律
調律時の各指穴修正加工は、常に穴の内側を少し斜め(円錐形)に削るよう意識しています。径寸法はそのままでも、特に管尻側を斜めに削ることで若干音程が上がるようです。
☆低音側(F4~)から順次音合わせを行います。 ⇒  リコーダー運指のチューニング
5.竹製フルート(No.9) 完成図
下記が完成した竹製フルート(No.9)です。修正後の各指穴径は下記図面の寸法(0 ~+0.3mm)となります。又、第1と第2指穴開け位置を中心から少し離してありますが、図面寸法は円周上の寸法です。
 運指表はこちら
6.評 価
リコーダー運指の竹製フルート(No.4~9)は、共通して第1指穴径が小さく、指穴を半開にした時の音高(G♭/F#)が出し難い為、管尻穴をもう少し大きく(或いはオープンに)し、且つ指穴全体をもう少し管尻側寄りに設定する等の試行が必要かも知れません。
竹外径部(合わせ目)に使用したビニール電線管のリングは、その幅を随時変える事で主音(最低音)を調節するのにも使えそうです。
 
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