竹製フルート No.4 (F 管 )
 
ホウライチク(蓬莱竹)を使用した竹製フルートです。表皮に特有の斑(マダラ)模様や筋目が多く、余り見映えは良く有りません。管尻側のみを少し切り落とした後、ケーナのように節(ふし)側に管尻穴を設ける形状としました。
1.管サイズ設定と主音(F4)の確認
横笛は、ケーナや尺八等と同じく閉管(管の片側が閉じた形状)構造なので、実サイズ(設定スケールの最低音を出すのに必要な管サイズ)は、これらの縦笛とは大きく違わないのではないかと考えます。
因みに、以前作成した「ケーナの近似サイズ表」では、Fスケールの標準ケーナサイズ(歌口反射板~管尻間)を約420mmとしました。
 
これを参考に、管尻~反射板間を実サイズ(420mm前後)と想定、管尻から403mmの位置に歌口を開け、+α(残り)を反射板迄の位置としました。
反射板(コルク)位置を調節し音高を確認、下図のような設定で暫定的に音高を確認しました。この時点では、まだF4の音高より20~30セント低めの状態ですが、後は指穴加工後の調律時に管尻穴径を修正します。
2.指穴開け位置の設定
指穴位置は、竹製ケーナ(No.10)Rケーナの全長比率、及び管径比率を参考に作成したエクセル(Microsoft Office Excel) ワークシートを使用して算出しました。
(1.)で設定したサイズデータを、中央のセルに入力し指穴位置及び指穴径の算出を行います。入力寸法は、歌口中心位置400mm、内径φ20mm、及び、反射板位置15mm(歌口中心からの距離)としました。
尚、このワークシートでは、作成するフルートの内径が大きくなった場合にだけ`指穴径補正値´(赤丸)が適用されます。
指穴径補正値=1-(作成する管の内径-19) × 0.03
この補正値は、管径比率で算出される各指穴径が余りにも大きくなってしまうのを嫌って、やむを得ず設定したもので、管の内径がφ19mmを超える場合には、算出された指穴径にこの補正値(エクセルのIF関数で、内径φ19mm以下は、1.000、φ25mm以上は、0.790に固定)を乗じます。
リコーダー運指フルートの指穴位置計算表
R Flute Computation Table-A.xlsx (Version 2.00)
(Excel Sheet Download)
3.穴開け作業
穴開け位置は、先ず管の表面にマスキングテープを貼り、その上から簡易CADで作成した穴開け位置図面を両面テープで固定します。指穴パターンは、竹製ケーナ(No.10)Rケーナと相似となりますが、管の内外径や形状的な違いが有る為、先ずは全体に指穴径を予想穴径より小さ目(予想穴径より、-0.5程度)に開けました。
4.竹製フルート(No.4)・F管 完成図
下記が完成した竹製フルート(No.4)です。管尻側を若干長めのデザインにした為、上記エクセルシートによる各指穴位置寸法の基準線は、端面より3mmの位置としました。修正後の各指穴径は下記図面の寸法(0 ~ +0.3mm)となります。又、第1と第2指穴開け位置を中心から少し離してありますが、図面寸法は円周上の寸法です。
今回は、管尻部のデザインを少し長めにした為、各指穴位置の寸法基準線を3mm歌口方向にずらしてあり、下図の指穴位置寸法は前記のエクセル計算値+3mmの値となっています。
 運指表はこちら
5.評 価
気付くのが遅かった感が有りますが、竹製のフルートを作成する場合はもう少し細い材料が良いかと思います。吹奏技術、或いは歌口形状等の問題かも知れませんが、2オクターブ目のB♭5音は運指を変えないと正確な音となりません。又、このように太めのフルートは、高音域(E5音以上)の音を出すのに苦労します。
この状況を自分なりに整理しましたが、比較的太目の竹材に、ケーナのような管尻穴を設けたことや、同じく管の内径に対して各指穴径が小さい為、空気(息)の流れるバランスが悪いのかも知れません。次に作成する簡易フルートはもう少し細めの材料を使用し、モダンフルートのように管尻をストレートなものにするか、或いは、管尻穴をもっと大きくする等の工夫をしてみたいと思います。
先の竹製フルート(No.2)と管径を比べると、やはり太いと感じます。音質(特に低い音)は捨てがたいものが有りますが、パフォーマンスの方は No.2 の方が優れています。(下の写真)
 
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