竹製フルート No.2 (F 管 )
先般入手したケーナ材(女竹)の中に、一本だけ両端に節(ふし)が付いたものが有りました。片側をカットしてありふれたケーナを作るには勿体ないと思い、今回はこの形状をそのまま利用して、リコーダー運指の竹製フルートを作成することにしました。
1.管サイズ設定と主音(F4)の確認
使用する竹材は、節~節までの間隔が約425mm、全長450mmでカットされていますが、一般的なケーナや、管尻側がオープンな横笛等と違い、今回は両端の節(ふし)部分をそのまま残して使用したい為、、先ずはこのサイズの主音(最低音)を見極めます。
管サイスの算出資料のスケール予想表から推測するとこの材料は、Fスケールに近いサイズとなっていますので、首尾良く目標のピッチ(F4: 349.228Hz)となれば良いのですが...
暫定的に管尻穴(φ10mm)と歌口(φ11mm)を開け、最低音を確認してみたところ...予想通り!この状態での最低音は約340Hzとなっており、管尻穴径と歌口形状を僅かに修正するだけで、目標であるF4の音高近く(345Hz)に合わせることができました。
歌口は端面から36mmの位置ですが、節(ふし=反射板)からは約25mmの位置、又、管尻の形状は少し長めで端面から節内面までの寸法は約15mm(壁厚5mm)有ります。
2.指穴開け位置の設定
指穴パターンは、竹製ケーナ(No.10)Rケーナの全長比率、及び管径比率を適用します。
Rケーナ作成時のエクセル表を使用して指穴位置、及び、指穴径を算出しました。入力値は、全長430mm(歌口側反射板から管尻穴間の長さ)と内径φ18mmです。全長と内径の値は正確に測定できない為、この場合は推定値としました。
指穴位置=(管全長×各指穴位置の全長比率)/100  指穴径=(管内径×各指穴位置の管径比率)/100
R Quena Computation Table.xlsx (Version 1.00)
(Excel Sheet Download)
3.穴開け作業
穴開け位置は、先ず管の表面にマスキングテープを貼り、その上から簡易CADで作成した穴開け位置図面を両面テープで固定します。指穴パターンは、竹製ケーナ(No.10)Rケーナと相似となりますが、管の内外径や形状的な違いが有る為、先ずは全体に指穴径を予想穴径より小さ目(予想穴径より-0.5~1mm程度)に開けました。
4.竹製フルート(No.2) F管
下記が完成した竹製フルート(No.2)です。管尻側を長めのデザインにした為、上記エクセルシートによる各指穴位置寸法に5mm加算して有ります。修正後の各指穴径は下記図面の寸法(0~+0.3mm)となります。尚、第1と第2指穴開け位置を中心から少し離してありますが、図面寸法は円周上の寸法です。
 運指表はこちら
5.評 価
竹製ケーナ(No.10、13)で作成した「リコーダー運指ケーナ」をフルートに置き換えたものですが概ね巧くいったようです。
このように両端面に節(ふし)が有るタイプは、材料の見極めが難しいかも知れませんが、管尻側がオープンなもので有れば今回の作成プロセスで容易に作ることができそうです。音程やオクターブのズレも比較的少なく自己満足しています。
歌口側 管尻側
 
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