塩ビ製ケーナ(No.23) F 管 (リコーダー風ケーナ・オープンタイプ)
リコーダー運指のケーナについて
1.管サイズの設定と最低音(F4)の確認
水道管用対衝撃硬質塩化ビニール管 (HIVP-16/外径φ22mm×内径φ16mm)を使用したリコーダー運指ケーナ(Rケーナ)で、今回は管尻穴が無いタイプ(オープンケーナ)を作成します。
管サイズは、フルート適正サイズの予想 にあるオープンフルートF4管の近似サイズ(≒448mm)を参照します。今回は初めてなので、これより少し長めにカットしました。
歌 口´ を設けた後、音高を `チューナー´ で確かめながら管サイズを修正し下図寸法にて音高がF4(349.23Hz)の許容値となりました。尚、パイプ表面の文字は、指穴開け終了後に細目のスポンジヤスリを使って簡単に消すことができます。
主音(F4)が適正となる管サイズは、気温や歌口の形状によっても違ってきますが、通常は演奏により管自体の温度が上昇することを考慮し、ピッチは若干低めに合わせるようにします。
2.指穴開け位置の設定
下表は、先に作成したNo.22ケーナの指穴位置寸法を参考に作成したリーコーダー風オープンケーナ指穴位置の全長比率と管径比率です。管尻からの第1指穴位置をNo.22ケーナより17mm長くしました。
全長比率=(指穴位置寸法/管全長)×100
管径比率=(指穴径/管内径)×100
(№22ケーナで使用したエクセル計算表の全長・管径比率の値をこのように変更)
リコーダー風オープンケーナの全長比率と管径比率の値を使ったエクセル計算表のセル()に、管の全長(450)と内径(16)を入力し各指穴位置と指穴径を算出します。
指穴位置=(450×各指穴位置の全長比率)/100
指穴径=(16×各指穴位置の管径比率)/100
  
3.指穴加工とチューニング
電動ドリルを使い指穴開けを行いますが、先ず管の表面にマスキングテープを貼り、その上から簡易CADでプリントアウトした図面を両面テープで固定、裏穴も同じ方法にて行います。
図面通りの指穴寸法で概ねのピッチは確保できる筈ですが、念の為に、最初は上記図面寸法より0.5mm程小さな径で穴開けを行います。
チューニングは通常最低音(F4)から順次行い、以後各音高を確めながら穴径を調整しチューニングを行います。この場合、各音高のオクターブ上も並行して確認します。
音 名 音 名 周波数-1(Hz) 周波数-2(Hz) 運 指 (左方向が歌口側)
F4 / F5 ファ 349.228 689.456
G4 / G5 391.995 783.990
A4 / A5 440.000 880.000
Bb4 / Bb5 466.164 932.328
C5 / C6 523.251 1046.502
D5 / D6 587.330 1174.660
E5 / E6 659.225 1318.450
F5 / F6 ファ 698.456 1396.912
G5 / G6 783.991 1567.982
Frequency table for the equal temperament Frequency table for equal temperament of 12 degrees
先ずは指穴を全て塞ぎ、主音F4(≒349Hz)を確認してみます。ここでは(1.)項で既に最低音(主音)の確認を行っていますので大きな変化は無いと思いますが、もし、ピッチが低いようであればこの時点で管の長さを少し短く修正します。
以後各音高を確めながら指穴径を調整しチューニングを行います。基本的にはその音程を決める主要指穴径(①~⑧)を大きくして行くことでピッチが上がります。穴サイズの修正加工は今のところ便利な工具が見つからないので半丸ヤスリを使用しています。
4.塩ビ製ケーナ(No.23)各部寸法
塩ビ製リコーダー風ケーナ(No.23)の完成図です。図面上の各指穴径は概算値(0 ~+0.3mm)です。
塩ビ製ケーナ(No.23)F管・リコーダー風ケーナ (オープンタイプ)  運指表はこちら
5.評 価
材料は塩ビパイプを切断するだけ! 管尻穴(ツバ管)の加工が無く比較的短時間で作成することができました。塩化ビニール電線管用のツバ管 (MT14J)が入手できない場合は、こちらのデザインで良いかと思います。
先のNo.22ケーナと比べても性能に遜色は有りませんが、強いて言えば管尻穴を設定したNo.22ケーナの方が高音域の音が出し易いようです。
Making a Vinyl Chloride Quena
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