塩ビ製ケーナ(No.22) F 管 (リコーダー風ケーナ)
リコーダー運指のケーナについて
1.管サイズの設定と最低音(F4)の確認
先ずは下図のサイズに加工し `歌 口´を設けた状態で音を出し`チューナー´ でこのケーナの基音となるF4(349.23Hz)の音高がほぼ適正で有ることを確認しました。
この寸法で基音(F4)より音程が高くなることは無いと思いますが、作成条件の違い(気温、歌口形状等)により音程が低い場合は、管サイズをこれより少し短く修正するか、管尻穴を僅かに拡げる等で調整してみてください。
材料は、水道管用対衝撃硬質塩化ビニール管 (HIVP-16/外径φ22mm×内径φ16mm)を使用します。
管の全長(436mm)は、ツバ管の厚み(3mm)を含むサイズです。 最初に材料を切断する際には念の為、2~3mm長めにした方が良いと思います。
この塩ビ製ケーナの作成プロセスで、最も手間がかかるのは管尻穴の部分です。
今回は、この部分の形成に 硬質ビニール電線管用ツバ管 (MT14J)を利用しています。

ツバ管を固定するには、右図のように異径の塩化ビニール電線管(VE-14J2)の外径部分(φ18mm)を細く削り、HIVP管の内径(φ16mm)に埋込みます。
ツバ管(MT14J)は、長さ8mmで切断し、内径をφ10mmに修正してください。
2.指穴開け位置の設定
一般的に第1指穴位置の全長比率は、ケーナの場合11~15%、管尻がオープンな横笛等に於いては15~16%となるようです。 リコーダーは、管尻に向かって先細りの形状となっており、ケーナと同じような比率でも良さそうな気がしますが、何故か管尻から離れたところに第1指穴位置が有ります。 ここでは余り極端な変更はせずに、取り敢えずは双方の間を取り14%位としました。
全長比率=(指穴位置寸法/管全長)×100
管径比率=(指穴径/管内径)×100
作成したリコーダー風ケーナの全長比率と管径比率の値を使ったエクセル計算表のセル()に、管の全長(436)と内径(16)を入力し各指穴位置と指穴径を算出します。
指穴位置=(436×各指穴位置の全長比率)/100
指穴径=(16×各指穴位置の管径比率)/100
   
R Quena Computation Table.xlsx (Version 1.00)
(Excel Sheet Download)
3.指穴加工とチューニング
電動ドリルを使い指穴開けを行いますが、先ず管の表面にマスキングテープを貼り、その上から簡易CADでプリントアウトした図面を両面テープで固定、裏穴も同じ方法にて行います。
図面通りの指穴寸法で概ねのピッチは確保出来る筈ですが、念の為に、最初は上記図面寸法より0.5mm程小さな径で穴開けを行います。
チューニングは通常最低音(F4)から順次行い、以後各音高を確めながら穴径を調整しチューニングを行います。この場合、各音高のオクターブ上も並行して確認します。
音 名 音 名 周波数-1(Hz) 周波数-2(Hz) 運 指 (左方向が歌口側)
F4 / F5 ファ 349.228 689.456
G4 / G5 391.995 783.990
A4 / A5 440.000 880.000
Bb4 / Bb5 466.164 932.328
C5 / C6 523.251 1046.502
D5 / D6 587.330 1174.660
E5 / E6 659.225 1318.450
F5 / F6 ファ 698.456 1396.912
G5 / G6 783.991 1567.982
Frequency table for the equal temperament Frequency table for equal temperament of 12 degrees
先ずは指穴を全て塞ぎ、主音F4(≒349Hz)を確認してみます。ここでは(1.)項で既に最低音(主音)の確認を行っていますので大きな変化は無いと思いますが、もし、ピッチが低いようであれば管尻穴径を少し拡げることでピッチを修正してください。
以後各音高を確めながら指穴径を調整しチューニングを行います。基本的にはその音程を決める主要指穴径(①~⑧)を大きくして行くことでピッチが上がります。穴サイズの修正加工は今のところ便利な工具が見つからないので半丸ヤスリを使用しています。
4.塩ビ製ケーナ(No.22)各部寸法
塩ビ製リコーダー風ケーナ(No.22)の完成図です。No.21ケーナ(試作品)より指穴位置を17mm管尻方向に移動しました。図面上の各指穴径は概算値(0 ~+0.3mm)です。
塩ビ製ケーナ(No.22)F管・リコーダー風ケーナ    運指表はこちら
5.評 価
今回は、指穴位置全体を少し管尻方向に移動させる事により各指穴径を大きくした為、操作性は、前回のNo.21ケーナより改善されたようです。
高音域の音出しはテクニックが必要ですが、概ねリコーダーと同じ運指となり、個人的には、従来のボリビア調のケーナより演奏がし易いと感じます。
Making a Vinyl Chloride Quena
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