塩ビ製ケーナ(No. 6) G 管
 硬質ビニール電線管を組み合わせて作成するボリビア式運指のケーナです。 作成に必要な材料は、すべてホームセンターなどで購入することができます。
今回は、No.2ケーナのような歌口部分の分割は無くシンプルな構造としました。2種類の硬質ビニール電線管(VE-16J2、VE-22J2)を組み合わせ、管尻部の処理には前記のツバ管(MT-18J)の円筒部分を切断して使用します。
管尻穴となるツバ管の内径は、そのままでφ12mmありますが、捨て蓋を外した後のバリはヤスリ等で修正します。
先ず、それぞれのパイプを上記図面寸法より長めの380~390mmで切断し、切断面のバリ取りを行った後に双方のパイプを組み合わせます。
硬質ビニール管は、製造行程に於ける精度のバラツキ、或いは、季節的な温度変化によりその内外径は変化します。双方の嵌合(かんごう)がキツイ状態でこの長さのパイプを打ち込むのは無理なので、その場合は、細目の紙やすりで細い方のパイプ(VE-16J2)の外径を気長に修正してみてください。
反対に嵌合が緩(ゆる)い場合は、穴開け加工時にズレる懸念が有るため、塩ビパイプ用の接着剤で固定します。
後日、気付いたのですが、同じ材質の電線管(VE)であっても購入先の違いにより内外径精度に差(入らない場合)が有るようです。元来、電線管は組み合わせて使用するものでは無いので、購入時は、予め店頭で嵌合の良否を確かめるようにしてください。
図面寸法は全長375mmですが、管尻に使用するツバ管のツバ厚を見込み長さ371mmで切断します。切断面の直角度を修正し同時にエッジの面取りも行ってください。ツバ管は長さ8mm(内ツバ部4mm)で切断し管尻側に嵌め込みます。
各指穴を開ける前に、先ず暫定的に歌口を加工し音高をチューナーで測定、管サイズがGスケール(基音≒392Hz)に適合しているかを確認します。音高がG4より低い場合は、管尻側を短くカットし管サイズを調整します。(管尻のツバ管を接着剤で固定するのは管サイズを見極めてから)
正確な指穴位置図面を作成してから、両面テープでそれをパイプの表面に貼り付け固定します。電動ドリルでの穴開けを行いますが、前もって各指穴位置のセンターに錐(きり)で揉み込みを行っておきます。
念の為に、最初は上記図面寸法より 0.5mm程小さな径で穴開けを行います。チューニングは通常最低音(G4)から順次行い、以後各音高を確めながら穴径を調整しチューニングを行います。この場合、各音高のオクターブ上も並行して確認します。
先ずは指穴を全て塞ぎ、基音G4(≒392Hz)を確認してみます。一般的にG4のピッチを合わせる場合は管尻穴径を修正しますが、ここでは管サイズを修正する事で既に最低音(G4)を確認している為、大きな変化は無いと思います。
基本的には指穴径を大きくして行くことでピッチが上がります。穴サイズの修正加工は今のところ便利な工具が見つからないので半丸ヤスリを使用しています。
以後は、ケーナ運指表(下図)に従って低音側から高音側へと順次調律を行って行きます。
Gスケール(ト長調の音階)のケーナで半音を出す時の多くは、指穴が半開きの状態となる為、基本的な調律作業は個々の指穴が完全にオープン 或いはクローズ となる状態(G4 ・ A4 ・ B4 ・ C5 ・ D5 ・ E5 ・ G♭5 ・ G5 ・・・ )でそれぞれの音程を決める主要な指穴径 を修正します。
尚、オクターブ上の音(倍音=整数倍の周波数の音)は、該当するポジションで息を強く吹き込む事で出すことができます。
・・・ A5(880.000Hz)・B5(987.767Hz)・C6(1046.502Hz)・D6(1174.660Hz)
・E6(1390.450Hz) ・G♭6(1479.978Hz)・G6(1567.982Hz)・A6(1760.000Hz) ・・・
平均律音階の周波数表 ボリビア式ケーナ運指表
今迄に作成した塩ビ製ケーナの中では最も短時間で作成する事ができました。 音色も良く、又音程も安定しており気に入っています。
追記: HIVP管を使用したG管ケーナの作成
後日、水道管用対衝撃硬質塩化ビニール管 (HIVP-16/外径φ22mm×内径φ16mm)を使用して、このページで紹介したケーナとほぼ同じ形状のG管ケーナ(№10)を作成しました。
HIVP管を使用したG管ケーナ(№10)
このケーナの方が、前記のG管ケーナ(№6)より遙かに軽量で扱い易い為、個人的にはこちらがお薦めです。
下図は、このケーナのベースサイズ(基本構造)ですが、この場合は管内径が16mm、外径が22mm、管厚が3mmとなります。 管尻穴に使用する ツバ管 は、前記のMT-18Jより小さいサイズの形式(MT-14J)を使用します。
注意点1: HIVP管の内径は16mmで、ツバ管(MT-14J)の外径(14mm)と合わない為、ここでは、硬質ビニール電線管(VE-14J2)の外径を16mmに加工して内外径のスキマを埋めることにしました。
尚、硬質ビニール電線管(VE-14J2)を使用する部分は、ほんの僅かなので、もしストックが無い場合は、いっその事、ツバ管を使用ぜず、下図のようにエポキシパテなどで管尻部を成形する方法が有ります。 この場合は、エポキシパテが完全乾燥してからドリル刃で管尻穴の加工を行います。
注意点2: 管の内径が小さくなったことで、管全長が前記の標準サイズ(全長375mm)より若干長くなります。 多分、この寸法でG4(391.995Hz)の音高(ピッチ)に大きな変化は無いと思いますが、管尻用のツバ管を接着剤で固定する前に一度音を出して確認してください。 管尻穴に使用するツバ管(MT-14J)の元々の穴径はφ9mmなので、音高を確かめながら、この表の値(φ10.2mm)前後の穴径に修正してください。
又、エポキシパテを使用した形状の場合は、最初に管尻穴径を9mm程度に加工し、音高を確かめながら少しづつ穴径を大きく拡げることでG4の音高(ピッチ)を合わせるようにします。
下図は ケーナの指穴位置や指穴径の算出用に作成したEXCEL表「ケーナ指穴位置計算表」で算出したこのベースサイズ(基本構造)の各指穴位置と指穴径の値です。 表番号は管尻側が1番、歌口側が6番と裏穴になります。 表の上段が管尻側端面を基準とした座標値(mm)、下段が各位置の指穴径(mm)です。
尚、ケーナ指穴位置計算表につきましては、別ページ`ケーナの作成´→`指穴位置の設定´を参照してください。
注: この計算表で算出される予想指穴径は、チューニングのプロセスに於いて、それぞれ少し修正が必要となります。
G管ケーナ(№10)では、特に第6指穴径と裏穴径がこの値より少し大きくなりました。
Making a Vinyl Chloride Quena
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